認知症の予防改善へのビタミンB12の効果

認知症の予防改善への効果が期待されるビタミンB12。

ビタミンB12の脳への効果はサプリメントで効率良く摂取することで得ることができます。

2012年の厚生労働省調査による認知症高齢者の推計は、2012年で305万人、2020年で410万人、2025年で470万人となっていて、将来的に人口が減少するのとは反対に、認知症高齢者は増加する見通しとなっています。

認知症が増加する社会への対策としてビタミンB12の効果が期待されています。

ビタミンB12の認知症予防改善への効果

認知症の原因になる疾患は70もあるとされますが、その中でも最も多いのがアルツハイマー型認知症で全体の50~60%、そして脳血管性認知症が30%と、これら2つの原因で8割から9割を占めます。(アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の割合は半々という見解も多くあります。)

そして、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症は、認知症に至る原因と過程が違いますが、「血流の低下」「脳の萎縮(=脳神経細胞の死滅)」という共通点があります。

アルツハイマー病の原因はまだ解明されていませんが、男性よりも女性の方が発症しやすいとされています。

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの、脳の血管の障害によって脳が損傷して発症します。

脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症とは逆に女性よりも男性の方が発症しやすいとされています。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の共通している状態は「血流の低下」と「脳の萎縮」です。

ビタミンB12は、血流低下を招く原因になる「血管の状態悪化を防ぐ」働きと、脳の萎縮を食い止めるための「細胞を再生修復する」働きを持っています。

血流低下の原因、血管の状態悪化を防ぐビタミンB12の効果

血管の状態が悪くなるというのは、動脈硬化の進行です。

血管の内側にプラークと呼ばれる物質がたまっていくことで、血管が狭くなったり柔軟性がなくなったりします。

すると、血流の低下、血管の耐久性の低下、脳梗塞の原因となる血栓ができやすくなるといった認知症の原因になりうる状態が進行してしまいます。

動脈硬化の原因のうち、因果関係が強いと言われているのがホモシステインという物質の血中濃度です。

ホモシステインが多くなると動脈硬化が進んでしまいます。

血管は酸素と栄養素を全身に運ぶ重要な部位ですので、動脈硬化によって血流が悪くなってしまうと、認知症や、脳梗塞などの脳血管障害への影響をはじめ、体のあちこちに非常に悪い影響を与えてしまいます。

そこでビタミンB12の働きが重要になってきます。

なぜならビタミンB12は葉酸と一緒に働くことで動脈硬化の原因となるホモシステインを、細胞の合成に必要不可欠なメチオニンという物質に変化させることができる重要な物質なのです。

ビタミンB12のメチオニン再生の働きによって細胞の再生修復が進むと、傷ついた血管の細胞も修復することが期待でき血管の状態を良くする効果が見込めます。

血管の状態が良くなることは脳に必要な栄養を届きやすくするため、脳血管性認知症だけでなくアルツハイマー型認知症においても予防効果を発揮すると思われます。

脳の萎縮を食い止めるビタミンB12の効果

アルツハイマー型認知症は、アミロイド斑とタウ蛋白という異常なたんぱく質によって神経細胞が壊されていきます。

脳血管性認知症は、血管障害や血栓によって脳梗塞などの脳疾患を発症し神経細胞が壊されます。

脳血管性認知症の多くは、ラクナ梗塞や隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)という細い血管に起こる微小な脳梗塞によって発症していきます。

小さな脳梗塞であっても繰り返して多発性脳梗塞という状態になると脳血管性認知症が進行していくのです。

神経細胞が壊れる原因が分かるのが脳血管性認知症、壊れる原因が分からないのがアルツハイマー型認知症ですが、どちらもほとんどの場合脳の萎縮が進んでしまいます。

ビタミンB12の細胞を合成する働きによって脳の萎縮を食い止める効果が期待できます。

細胞の合成に必要不可欠な核酸の合成とたんぱく質の合成はビタミンB12が働くことで円滑に進み、新しい細胞が作られやすくなります。

しかし、ビタミンB12を効果的に摂取しても認知症の進行が早過ぎれば、脳の萎縮も早く進んでしまいます。

最近では認知症と生活習慣の関連性の高さが注目されていますが、生活習慣を良くすることと合わせてビタミンB12を効果的に摂取することで、脳の萎縮を防ぐことが期待できるでしょう。

認知症の予防改善のためにビタミンB12を効果的に摂取するには

認知症の原因となる動脈硬化を予防し、進行させないためには血中のホモシステインを低下させる必要があるのですが、ホモシステインをメチオニンに変換するにはビタミンB12とともに葉酸が必要になります。

また、ホモシステインはビタミンB6の働きでシスタチオニンに変換されることでも減少させられることが分かっています。

そして、シスタチオニンは重要な抗酸化物質であるグルタチオンの元になります。

動脈硬化の予防のためにビタミンB12をサプリメントで摂取する場合は、葉酸とビタミンB6、さらにナイアシン(ビタミンB3)も一緒に取ると血中のホモシステインを下げる効果が大きくなるでしょう。


ホモシステインとビタミンB12の関係についてはこちらの記事も参考になります。
認知症にビタミンが効く? ーメディカルノート
濱野 忠則先生福井大学第二内科 准教授


脳の萎縮を食い止めるために、神経細胞の合成を促進するにはメチル基の転移が必要です。

ビタミンB12はメチル基の転移を進めるのですが、そのために葉酸が必要になります。

ビタミンB12によるメチル基の転移が進むことによって細胞の設計図である核酸が合成され、さらにメチル基の転移でたんぱく質や脂質が合成が進んでいきます。

細胞はたんぱく質や脂質から合成されますので、ビタミンB12がしっかり働くことで脳の神経細胞も合成されていくのです。

アルツハイマー型認知症を改善するために必要なアセチルコリンの合成

アルツハイマー型認知症の人の脳では、アセチルコリンという神経伝達物質の量が減少しています。

アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを一時的に阻害する薬としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル(商品名アリセプト)が、アルツハイマー型認知症の薬として主に使われています。

アセチルコリンは原料であるコリンとアセチルCoAから作られます。その際に、コリンアセチルトランスフェラーゼという補酵素が働くのですが、ビタミンB12がコリンアセチルトランスフェラーゼの働きを活性化させると言われています。

コリンとビタミンB12と葉酸をしっかり摂取すればアセチルコリンが作られます。

卵に多く含まれるホスファチジルコリンというリン脂質のコリンは血液脳関門を通過して脳に届くことができます。

そして、アセチルコリンが合成されるためには、ホスファチジルコリンの他にアセチルCoAを構成するパントテン酸、そしてコリンアセチルトランスフェラーゼを活性化させるビタミンB12などをしっかり摂取することが重要になります。

アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症の予防改善、とくに脳の萎縮を防ぐためには、ビタミンB12と葉酸をはじめとするビタミンB群をサプリメントで摂取することが効果的です。

ビタミンB12の脳神経系への効果は一度に1000μg以上摂取しないと発揮されないとも言われています。

そして、ビタミンB群は基本的に水溶性のため体内にはわずかしか蓄積されません。

加齢や胃の不調などで吸収力が低下すると欠乏やさまざまな健康リスクが高まる恐れが出てきます。

また、ビタミンB群は相乗効果のある栄養成分ですので同時に摂取した方が良い栄養素です。

そのためサプリメントで一緒に摂取することで効率が良くなります。

さらに食事で摂取する栄養素を考慮しながら、細胞の元になる核酸やアミノ酸や脂質成分を補うと良いでしょう。

これらは卵などの普通の食品でかなりの量を摂取できますが、毎日の食事を確認して足りないようでしたらサプリメントで調整すると効果的です。

量がポイントになるビタミンB12のサプリメントの選び方についてはこちら

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